鬼火焚きの準備①

やらかした・・・集合は朝の8時、見事に寝坊して朝ご飯を食べ損ねた。昨日仕込んでいた餡子を口一杯に頬張って急いで出発の準備を済ませる。せっかくこの日の為に気持ちを高めていたのに出だしから躓いてしまった。飼っている鶏たちに朝食を食べさせてから集合場所へ向かう。今日は鬼火焚きの準備の日だ。実際火を着けるのは来年だというのにまだクリスマスもきていない今時分から準備しておくのだ。自分の住む田尻集落の鬼火焚きは他の集落のものよりも立派なモノだ、人が3人くらいすっぽり納まる深い穴を掘りそこに切り出してきた孟宗竹を立てて重ねていく、すると高さ8メートルくらいの竹山ができる。それを正月に燃やして燃え上がる火でその年を占う。すでに作業が始まっている集落外れの竹林に合流すると、チェーンソウを使ってバッサバッサと竹が刈られていく、それを次々と軽トラの荷台に積む、軽トラからはみ出た竹を積んで笹を地面に引きずって運ぶ姿は生き物の尻尾のようで何とも不思議な光景だ。芯になる青竹を刈った後は爆竹竹を刈る。これは竹の根元にある節の詰まった竹の事で、火にあぶられた竹は熱で中の空気が膨張し破裂するその時に大きな音が鳴る、より大げさに大きな音が鳴るように使う竹には節間が詰まって分厚く固い竹がいいそうだ。一通り刈り終わると次は芯がよく燃えるように外側に腹巻のように巻き付ける竹を準備する。これは細い笹竹をわら縄で束ねたものでこの作業もなかなか大変だ。あれやこれややっているとあっという間に時間が過ぎて休憩の時間になった。公民館では女性陣が休憩で食べるぼたもちを用意してくれていた。ぼたもちは炊いたモチ米できな粉おはぎにしたものでとても甘く腹持ちがよい。一口では食べきれないほどのぼたもちが2個とそれと同量の大根と人参の膾が付いていた。甘いすっぱ甘いお茶、甘いすっぱ甘いお茶、このリズムで食べているともうお腹いっぱいになる。